社会人としてまだペーペーだった頃にお世話になった上司から
「相手目線で仕事をしないというのは、仕事をしていないのと同じことですよ」という指導を受けたことがあります。
仕事の引継ぎ時の出来事
当時は新人だったので売上データの集計や名刺情報の登録ができているか確認する等といった責任の大きな仕事をやっておらず
「営業マンとかであれば分かるけど、ぶっちゃけ単純作業に相手目線とかあるのか?」と疑問に思っていました。
要は、言われたことを単にやるだけの仕事って、
言われたことをキチンと出来てるかどうかが大切なのであって相手目線とか考えるだけ無駄じゃない?
と思っていたのです。
そんな疑問を頭の隅に置いて、しばらくしたら部署移動がありました。
新しい部署で仕事の引継ぎしている最中に「なんでこの作業をしているんですか?」と
なんとなく気になって作業の背景を伺ってみました。
だって、集計作業が終わったExcelのファイル名を
「○○ファイル」から「○○ファイル_済」に書き直すという具合で
「背景を伺ってください」と言わんばかりの作業だったからです。
僕の質問に対して引継ぎをしてくれた先輩は
「う~ん、分からないです。でもこうしてください。」と言ってきたのです。
「なんだこいつ?」と思いながら作業の引継ぎを済ませて、新しい上司にこの作業の背景を伺ってみました。
案の定、ファイルを終わったファイル・終わってないファイルの仕分けをしているだけでした。
「なるほど…だったら、済という名のフォルダを作ってそこに放り込んだ方が良くないっすか?」
と名前変えるより手間のかからない提案をしたところ、OKとのこと。
ここで「相手目線」について、ふと思い出したんです。
相手(この例だと会社かな?)はこの作業をやって欲しいのではなく、
何か大きな目的があってこの作業をしているのだと気付かされたのです。
相手目線について改めて考える
言いたいのは先輩がアホだということではなく
何をするにも相手のやりたいこと(目的や背景)があって、それを達成するための手段として
この作業フローを採用したということですね。
なので、相手のやりたいことを達成できるのではあれば
別の作業フローでも大丈夫だということも改めて学びました。
「あるキャンペーンをやるので、メールで全社に周知するように」という仕事を任されたときに
メールで「キャンペーン始まります。頑張って売ってきてください。」
と伝えるのが指示された仕事なのではなく、
「全ての営業マンにキャンペーンに集中して取り組んでいただくこと」が目的なので
単に営業マンに対してメールをするのではなく、
キャンペーン用のおしゃれな資料やビラを作ったり、
キャンペーンをお客さんに周知するため、お客さん宛てにメルマガ配信・DM送付をしたりなどなど、
やることはたくさんあります。
上司も忙しいので、目的や背景を言わずにいきなり手段を指示することがあります。
わかりやすい指示だからこそ、疑問すら持たずに「了解っす!」と目的を理解せずに作業に取り組んでしまいます。
デキる部下なら指示の目的や背景を想像して、指示されたことはきっちり実行した上で
「この指示ってこれが目的ですかね?であれば○○もやった方が良くないですか?」と提案し、
本来やりたかった仕事が1段階早く終わるのです。
もっとデキる部下なら、指示をいただく前に仕事がもう終わってます。
この人、すげぇな…と思った出来事
僕がこれまで見た中で「すげぇな…」と思ったちょっとしたエピソードを紹介します。
会社の超緊急会議で東京にいる全社員が会議室に集まりました。
社長からありがたいお言葉をいただいている最中に
僕の上司の上司が誰かに呼び出され、会議室から出てしまいました。
5分くらいしてから上司の上司が戻ってきて、
何事もなかったかのように社長のありがたいお言葉を引き続き聞いてました。
僕の上司をなんとなく見ていたのですが、
なにか考え事をしているようで何かを察知した僕の上司が
「みそしる君、悪いんだけどみんなが戻るまで自分の席に居てくれないか?」
と指示をいただきました。
社長の前で話し込むのも良くないと思ったので、
疑問を持ちつつも自分の席に戻って、スマホをいじって時間潰し。
しばらくしたら、電話が鳴りました。
そのときに上司の指示の目的を理解しました。
上司の上司が誰かに呼び出されて、5分後くらいに戻ってきたのを
僕の上司が見て「電話番いないじゃん!」と気付いたんですよね。
上司の上司にあとで、なんで外に出たのかを聞いてみると
「電話をしても誰も出ないんだけど!」とお客さんからお叱りを受けていたそうです。
緊急な会議だったということもあって、ほとんどの人が電話番がいないことに気付けず
また、誰かに言われたわけでもなく、周りの動きを察知して、想像して問題に気付き、人知れず指示を出したんですよね。
「あっ、すごいなこの人。」と尊敬しちゃいましたよね。
僕が女の子だったら多分、惚れてましたね。
それ以来、上司から指示をいただく前にもう済ませているようにしようと心がけるようにしました。
やっぱりビジネスは「相手目線」が大切
コツとしては、やっぱり相手目線ですね。
会社が何をしたいのかをキチンと把握していれば難しいことではなくてですね。
例えば閑散期になるとその対策として、キャンペーンを始めることが多いため
「何か企画考えといて!」と指示をいただきます。
時間があるときに全国の営業マンにヒアリングしたり、
お客さんの属性分析をしたり、
営業同行をして、お客さんにヒアリングしたり、
企画のボツ案がなぜボツになったかの失敗例を集めたり、
ちょっとずつコツコツと情報を集めて、
企画を3パターンくらい作って「このどれかになるかも?」と営業マンに予め伝えておきます。
こんな感じで仕事を進めていって、
上司から「そろそろキャンペーンやりたいんだけど…」と言われたら、
「もう考えてます。これです。」という感じで有能な部下アピールをしてます。
会議室のようなレベルの察知はなかなか難しいですが、
「いつかやるだろうなぁ」という仕事は言われる前にもう済ませるようにしてます。
こういうことが出来るようになったのも
「相手目線」を意識するようになったからだなぁとなんか思い出しました。